「パクリタキセル既治療原発性皮膚血管肉腫に対するパゾパニブ療法の非ランダム化検証的試験」の附随研究
パゾパニブ療法の効果予測のための融合遺伝子検出の有用性を検討するバイオマーカー研究(研究番号 JCOG1605A1)のお知らせ
1.研究の対象
JCOG1605「パクリタキセル既治療原発性皮膚血管肉腫に対するパゾパニブ療法の非ランダム化検証的試験」に参加して治療を受けられた方
2.研究目的・方法
研究の概要:
近年、組織や血液などを用いて、がんの診断や治療に関わる因子(バイオマーカー)を探索する研究が精力的に行われるようになってきました。こうした研究で得られるデータを活用して、治療薬の効果に関わる遺伝子の変異の有無や変異の種類などのバイオマーカーを同定して活用することで、将来の治療開発や、患者さんの体質に合わせた治療薬選択などの個別化医療の実現に繋がることが期待されています。
本研究は、JCOG1605「パクリタキセル既治療原発性皮膚血管肉腫に対するパゾパニブ療法の非ランダム化検証的試験」に附随する試料解析研究です。
原発性皮膚血管肉腫の腫瘍組織からRNAを抽出し、NUP160-SLC43A43という遺伝子がどのくらいの強さで機能しているのか(NUP160-SLC43A43遺伝子の発現(はつげん))を調べ、遺伝子の発現が治療の効果や予後を予測するバイオマーカーとして有用であるかを探索することを目的としています。本研究は東京大学医学部倫理員会で承認され、附属病院長より実施許可を得て研究を実施します。
研究の意義:
本研究により、NUP160-SLC43A43遺伝子の発現が治療効果や予後を予測するバイオマーカーの候補として同定されれば、個別化医療(患者さんごとに適切な治療方法を選択して行う治療)の可能性が広がります。
有用なバイオマーカーを同定するには、ひとつの医療機関の限られたデータのみでは情報が不十分であり、多くの医療機関が協力して、研究計画書で規定された均一な方法で治療されたJCOG試験の登録患者さんの多くのデータを利用した解析だからこそ、大きな意味を持ち、将来の患者さんの治療に役立つ研究になり得ると考えています。
本研究により、ご協力いただいた患者さんご本人への直接的な利益は発生しませんが、将来の患者さんに、より効果の高い治療が提供できるかもしれません。また、不必要な治療を減らすことで医療費を削減するなど、社会的な利益にも繋がる可能性があります。
目的:
本研究は、JCOG1605試験に参加いただいた原発性皮膚血管肉腫の患者さんの腫瘍組織中のRNAを調べることで、原発性皮膚血管肉腫の特徴とNUP160-SLC43A43遺伝子発現との関連を見つけ出すこと、および治療の効果や予後を予測できるマーカーとしての有用性を検討することを目的としています。
方法:
当施設をはじめJCOG1605試験の参加施設で保管している腫瘍組織を解析に用います。
本研究では腫瘍組織からRNAを抽出して、専用の試薬や機器等を用いた発現解析という方法により、NUP160-SLC43A43遺伝子がどのように機能しているのかを解析します。
研究実施期間:本研究の研究計画書承認から2027年12月まで。
3.研究に用いる試料・情報の種類
試料:検査または手術の際に採取し保存している腫瘍組織からRNAを抽出して解析します。
この研究のために新たに組織を採取することはありません。
情報:JCOG1605で得られた診療情報、JCOG1605登録番号 等
4.外部への試料・情報の提供、結果の公表
当施設から試料解析実施施設への試料と臨床情報の提供は、JCOG1605登録番号を用いて、特定の関係者以外が個人を識別し得る情報にアクセスできない状態で行います。
試料解析情報は公的なデータベースで公表される可能性がありますが、その場合もデータベースに登録された情報で特定の個人の情報であることは直ちに判別できないように管理されます。
5.研究組織
- JCOG(Japan Clinical Oncology Group:日本臨床腫瘍研究グループ)
皮膚腫瘍グループ参加医療機関
http://www.jcog.jp/basic/partner/group/mem_dog.htm
- 研究代表者 埼玉県立がんセンター 皮膚科 大芦 孝平
- 研究事務局 和歌山県立医科大学 皮膚科 神人 正寿
- 国立がん研究センター中央病院 臨床研究支援部門 JCOGデータセンター 福田 治彦
6.解析結果の説明
この研究は多くの方々のご協力が必要で、多くの患者さんから提供いただいた原発性皮膚血管肉腫の腫瘍組織から抽出したRNAに関する情報と、臨床情報をあわせて統計学的に解析することによって、はじめて意味のある結果が得られることになります。そのため、提供してくださった患者さんにとって有益な情報がすぐに発見されるといった可能性はほとんどありません。
したがいまして、解析した結果をお知らせすることはありません。このような研究の成果は将来の医学の発展に貢献するものであることをご理解ください。
7.お問い合わせ先
ご希望があれば、他の患者さんの個人情報や研究に関する知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書および関連資料を閲覧することができますのでお申し出ください。
また、試料・情報が本研究に用いられることについて、患者さんもしくは患者さんの代理人の方が拒否された場合、あるいは同意を撤回される場合には研究対象といたしません。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。
本研究に関するご質問等がある場合や、研究への試料・情報の利用を拒否する場合には、下記の連絡先までお問い合わせください。拒否の申し出期間は当文書掲載後、4ヶ月間を見込んでいます。ただし、既にこの研究の結果が論文などで公表されていた場合には提供していただいた情報や、試料に基づくデータを結果から取り除くことができない場合があります。なお、公表される結果には特定の個人を識別することができる情報は含まれません。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
施設研究責任者:東京大学医学部皮膚科 講師 宮川卓也
住所:〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
電話番号:03-3815-5411
JCOG1605A1研究事務局
神人 正寿
和歌山県立医科大学 皮膚科
〒641-0012 和歌山県和歌山市紀三井寺811-1
TEL:073-447-2300
JCOG1605A1研究代表者
大芦 孝平
埼玉県立がんセンター 皮膚科
〒362-0806 埼玉県北足立郡伊奈町小室780
TEL:048-722-1111
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