このたび、当院で診察を行った患者さんの診療記録や検査データを用いた以下の研究を実施いたします。本研究では、患者さんに追加でご負担をお願いすることはありませんが、カルテ情報等を使用することに賛成でない場合、あるいはご質問がある場合は、患者さんご自身でもその代理人の方でも結構ですので、問い合わせ先までお申し出ください。お申し出いただいても不利益になることは一切ありません。
1.研究の対象となる方
2012年 4月 1日~ 2024年 3月31日の期間に東京大学医学部附属病院で手術を実施した、stage IIB-C、IIIの爪部悪性黒色腫の患者さんを対象としております。
2.研究の目的
Stage IIB-C、IIIの悪性黒色腫は転移したり再発したりすることの多い進行がんなので、手術後に転移・再発を防ぐための治療(術後補助療法)が行われることがあります。皮膚に生じる悪性黒色腫は末端黒子型黒色腫(掌蹠悪性黒色腫および爪部悪性黒色腫)、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、悪性黒子型黒色腫に分類されます。このなかで爪部悪性黒色腫以外の悪性黒色腫は手術後に抗PD−1抗体を用いた術後補助療法を行うことで、一定の確率で再発や転移を防ぐことができることがわかってきています。一方で、日本人に比較的多い爪部悪性黒色腫は術後補助療法によって術後再発を防ぐことができるかどうかわかっていません。
そこで本研究では、当科を含めた悪性黒色腫の診療に従事する全国の大学病院やがんセンター、主要病院49施設からのデータ提供を得て、stage IIB-C、IIIの爪部悪性黒色腫で手術を受けた患者さんに対して、術後補助療法を行った場合と行わなかった場合を比較し、その予後を比較することで有益な情報を得ることを目的とします。
現在不明である爪部悪性黒色腫への術後補助療法の効果が本研究により検証され、結果として術後補助療法の有効性が得られた場合には、科学的根拠をもって患者さんに術後補助療法を行うことを提案できます。一方で術後補助療法が無治療経過観察と比較しても効果が見込めない結果が得られたならば、術後補助療法の施行は副作用発現のリスクだけを高めてしまうこととなります。そのような不必要な術後補助療法は回避すべきことが科学的根拠をもって提案・決定することができます。いずれの結果にせよ、今回の爪部悪性黒色腫への術後補助療法効果の調査は科学的に意義深いと考えます。
3.研究期間
病院長の許可後~2028年1月14日
4.利用または提供の開始予定日
研究実施許可後から、約1か月程度
開始予定日以降も研究への利用停止などのお申し出に対応いたします。
1.試料・情報の内容
※研究代表施設へのデータの提供は、氏名、カルテ番号等の直ちに個人が判別できる情報が消去された状態で、電子メールやインターネット上の共有フォルダを介してやり取りされます。対応表は、各施設の研究責任者が保管・管理します。
2.試料・情報の取得方法
爪部悪性黒色腫stage IIB-C、IIIと診断され、手術を実施した後、①PD-1術後補助療法、②IFN-β術後補助療法、③無治療経過観察を行った患者さんの診療記録および検査データ等を用います。
3.試料・情報を利用する者(研究実施機関)
:基盤研究施設および研究者
・埼玉医科大学国際医療センター 皮膚腫瘍科・皮膚科 中村 泰大(研究代表者・統括者)
:研究事務局および研究者
・近畿大学皮膚科 小森 崇矢(研究事務局担当)
:共同研究施設および研究責任者
・北海道大学形成外科 前田 拓(研究責任者)
・北海道大学皮膚科 前田拓哉(研究責任者)
・旭川医科大学皮膚科 山本明美(研究責任者)
・札幌医科大学皮膚科 宇原 久(研究責任者)
・東北大学 皮膚科 藤村 卓(研究責任者)
・自治医科大学皮膚科 前川武雄(研究責任者)
・筑波大学医学医療系皮膚科 中村貴之(研究責任者)
・自治医大付属さいたま医療センター皮膚科 前川武雄(研究責任者)
・埼玉県立がんセンター皮膚科 大芦孝平(研究責任者)
・獨協医科大学埼玉医療センター皮膚科 須山孝雪(研究責任者)
・国立がん研究センター東病院皮膚腫瘍科 高橋 聡(研究責任者)
・千葉大学医学部皮膚科 松澤高光(研究責任者)
・国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科 並川健二郎(研究責任者)
・がん・感染症センター都立駒込病院皮膚腫瘍科 西澤 綾(研究責任者)
・慶應義塾大学皮膚科 舩越 建(研究責任者)
・がん研究会有明病院皮膚腫瘍科 吉野公二(研究責任者)
・東京大学 皮膚科 宮川卓也(研究責任者)
・日本医科大学皮膚科 帆足俊彦(研究責任者)
・北里大学皮膚科 増澤真実子(研究責任者)
・東京医大八王子医療センター皮膚科 加藤雪彦(研究責任者)
・横浜市立大学皮膚科 石川秀幸(研究責任者)
・新潟県立がんセンター新潟病院皮膚科 竹之内辰也(研究責任者)
・富山大学皮膚科 鹿児山浩(研究責任者)
・富山県立中央病院皮膚科 八田尚人(研究責任者)
・信州大学皮膚科 木庭幸子(研究責任者)
・岐阜大学皮膚科 岩田浩明(研究責任者)
・福井大学 皮膚科 馬場夏希(研究責任者)
・静岡県立静岡がんセンター皮膚科 吉川周佐(研究責任者)
・名古屋大学皮膚科 森章一郎(研究責任者)
・名古屋市立大学皮膚科 加藤裕史(研究責任者)
・三重大学皮膚科 北川敬之(研究責任者)
・滋賀医科大学皮膚科 藤本徳毅(研究責任者)
・京都大学 腫瘍内科 野村基雄(研究責任者)
・京都府立医科大学附属皮膚科 浅井 純(研究責任者)
・近畿大学皮膚科 大塚篤司(研究責任者)
・大阪国際がんセンター腫瘍皮膚科 大江秀一(研究責任者)
・医誠会国際総合病院皮膚科 爲政大幾(研究責任者)
・神戸大学皮膚科 藤原 進(研究責任者)
・兵庫県立がんセンター皮膚科 高井利浩(研究責任者)
・和歌山県立医科大学皮膚科 山本有紀(研究責任者)
・愛媛大学 皮膚科 西原克彦(研究責任者)
・島根大学皮膚科 山﨑 修(研究責任者)
・国立病院機構九州がんセンター皮膚腫瘍科 内 博史(研究責任者)
・久留米大学皮膚科 名嘉眞健太(研究責任者)
・九州大学皮膚科 伊東孝通(研究責任者)
・熊本大学皮膚病態治療再建学 福島 聡(研究責任者)
・宮崎大学皮膚科 持田耕介(研究責任者)
・国立病院機構鹿児島医療センター皮膚腫瘍科・皮膚科 青木恵美(研究責任者)
ご自身の診療記録や検査データを利用されたくない場合、あるいはご質問がある場合には、以下の連絡先までご連絡ください。
利用されたくない旨のご連絡をいただいた場合は、研究に用いられることはありません。
ただし、ご連絡いただいた時点で、既に研究結果が論文などで公表されていた場合、結果などを廃棄することができないことがありますので、ご了承ください。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
施設研究責任者:東京大学医学部附属病院皮膚科 講師 宮川卓也
住所:〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-3815-5411
〇研究課題名:術後stage IIB-C, III爪部悪性黒色腫における術後補助療法および無治療経過観察の予後比較に関する多機関共同後ろ向き研究
〇研究代表者:埼玉医科大学国際医療センター 皮膚腫瘍科・皮膚科 中村泰大