当院にて悪性リンパ腫、アトピー性皮膚炎の皮膚生検を受けた方へ
当科では、悪性リンパ腫の原因となるマイクロRNAを発見する事で診断とマイクロRNAを応用した新しい治療法の開発につながると考えており、診断確定のために生検した皆様の皮膚の残検体を用いて、マイクロRNAの発現を検討致します。
【対象となる方】
2012年1月1日以降に当科で悪性リンパ腫、アトピー性皮膚炎の診断確定のために生検した皆様のうち、残検体を研究目的に使用することに文書にて同意された方
【研究の意義・目的】
この臨床研究の目的は悪性リンパ腫におけるマイクロRNAの発現を検討することです。悪性リンパ腫とは、血液の細胞であるリンパ球と言われる細胞から発生した悪性疾患(がん)の一種です。現在多剤併用化学療法の進歩により悪性リンパ腫の予後はかなり改善しておりますが、特に病期が進んだ場合や再発した場合、治療を行っても良くならないことが多く、その改善には新たな診断と治療法の開発が大切であると考えられています。
よりよい診断と治療法を得るためには、悪性リンパ腫の遺伝子学的原因を知る事が重要となりますが、特徴的な染色体の異常や遺伝子の異常が知られていないサブタイプや、再発に関わる遺伝子異常に関してはほとんど知られていません。
近年マイクロRNAと呼ばれるごく短い遺伝情報の転写物質が様々ながんで重要な働きをしていることが報告されています。マイクロRNAが異常発現するとそれが制御する下流遺伝子や蛋白の発現や翻訳を直接、間接的にコントロールし、癌化に関わる事が解ってきています。悪性リンパ腫においても、ある種のマイクロRNAの発現異常がその原因となっていることが報告されつつありますが、その発現解析はまだ十分に行われていません。
私たちは悪性リンパ腫の原因となるマイクロRNAを発見する事で診断とマイクロRNAを応用した新しい治療法の開発につながると考えており、本研究は極めて重要なものになると考えています。
【研究方法】
診断確定のために行う皮膚生検において、診断に用いた残りの組織を使用します。この研究によって新たに生検を行うことはありません。マイクロダイゼクションを用いて選別した腫瘍細胞からRNAを抽出し、ノーザンブロット法、Taqman PCR法、網羅的遺伝子発現解析法などによりマイクロRNA発現や遺伝子発現解析を行い、病因となるマイクロRNAを同定します。
【研究機関名及び研究責任者氏名】
この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示す通りです。
研究機関
東京大学大学院医学系研究科 皮膚科
研究責任者
菅谷 誠・皮膚科・准教授
担当業務:データ取得、データ解析
【共同研究機関】
秋田大学血液腎臓膠原病内科学講座
担当業務:研究総括、データ解析
【同意の撤回について】
今回使用させていただく検体の対象は、以前の当科での臨床研究に際し、提供した資料(試料)等が、長期間保存され、将来、新たに計画・実施される研究に使用されることに同意された方のみとなります。本研究に保存検体のデータが使用されることを希望されない場合、除外致しますので、お手数ですが下記までご連絡下さい。
【同意撤回の問い合わせ、苦情等の連絡先】
東京大学医学部附属病院皮膚科 准教授 菅谷 誠
住所:東京都文京区本郷7-3-1
Tel: 03-3815-5411(内線33532) Fax: 03-3814-1503
Emailでのお問い合わせ:sugaya-tky@umin.ac.jp
医療機関名 東京大学医学部附属病院
診療科名 皮膚科 診療科責任者名 佐藤伸一