実施責任者  佐藤伸一
(皮膚科・皮膚光線レーザー科)

1 研究目的
全身性強皮症は、皮膚および内臓諸臓器の線維化と血管障害を特徴とする全身性の自己免疫疾患(膠原病)です。その原因はいまだ不明であり、全ての患者さんに効果のある確立された根治療法は現時点では存在しません。
今回、全身性強皮症の線維化を改善させる可能性のある新しい化合物が開発されました。この化合物は強皮症動物モデルの線維化を抑制すること、正常な培養皮膚線維芽細胞のコラーゲンの産生を抑制することなどが明らかとなっています。しかしながら、この薬剤の標的分子が実際にヒトの全身性強皮症の病変部皮膚に発現しているか否か、患者由来の線維芽細胞に対して薬剤応答を示すか否かは、現時点では不明です。本研究は、この新しい化合物がヒトの全身性強皮症の治療薬となる可能性について、強皮症の患者さんの皮膚組織および培養皮膚線維芽細胞を用いて検討することを目的としています。

2 研究方法・研究協力事項
この研究には全身性強皮症の患者さんの皮膚組織および培養皮膚線維芽細胞が必要です。過去に同意が得られている患者さんを対象として、診断のために皮膚生検を行った際に、皮膚組織と培養皮膚線維芽細胞を保管させて頂いておりますが、その保管されている検体を今回の研究に使用させて頂きます。

皮膚組織および培養皮膚線維芽細胞を使用して、下記の研究が行われます。

① 選抜された組織切片を用いて、in situハイブリダイゼーション染色を行い、新規化合物の
標的分子の発現を確認する
② 選抜された培養皮膚線維芽細胞を用いてDNAアレイ解析を行い、新規化合物が各種遺伝子の
発現に及ぼす影響を確認する
③ 選抜された培養皮膚線維芽細胞を用いて、コラーゲンおよび線維化関連成分を指標とした
新規化合物の薬理評価を実施する

3 研究協力者にもたらされる利益および不利益
保管検体を用いるため、あなたへの身体的・精神的危険はありません。
なお、この研究結果が直接あなたに有益な情報をもたらす可能性はありませんが、新規化合物が本研究を通じて全身性強皮症の治療薬となる可能性が示され、将来新規治療薬として承認されれば、あなたを含めた膠原病の患者さんが恩恵を受けられる可能性があります。

4 個人情報の保護
あなたの検体と診療情報は、同意をいただいた時点で匿名化して厳重に保管しています。また、あなたと符号を結びつける対応表は東京大学医学部附属病院において厳重に保管しています。

5 研究計画書等の開示
研究の結果は、あなたには開示されませんのでご了承ください。

6 協力者への結果の開示
開示希望のある協力者には、結果の解析が終了した時点で結果を開示する予定です。

7 研究成果の公表
あなたの協力によって得られた研究の成果は,匿名化して学会発表/学術雑誌/データベース上で公表します。

8 研究から生じる知的財産権の帰属
この研究の結果により特許権等の知的財産が生み出されても、その権利はあなたには帰属しません。

9 費用負担に関する事項
この研究に関して、あなたに費用を負担いただくことは一切ありません。またあなたに対し謝礼や交通費の支給は行いません。

10 本研究への協力を希望されない場合
本研究では過去に同意が得られている患者さんの保管されている検体(皮膚組織と培養皮膚線維芽細胞)を使用しますが、この同意はいつもで撤回できます。本研究への協力を希望されない場合は、下記の問い合わせ先まで連絡して下さい。同意撤回の意思が確認できた場合は、直ちに本研究の実施対象外とします。

11 問い合わせ先
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学医学部附属病院皮膚科  試験責任医師;佐藤伸一
分担担当医師;浅野善英
電話:東京大学医学部附属病院:代表 03-3815-5411
東京大学医学部附属病院皮膚科医局:直通 03-5800-8661

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