当科で行った医師主導治験(担当:吉崎歩講師)の結果、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブが全身性強皮症に対して2021/9/27より本邦で保険適用になりました。
リツキシマブは、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質であるCD20に特異的に結合する抗CD20モノクローナル抗体です。白血球の一種であるB細胞は抗体を産生する機能や、抗原提示能や炎症物質産生能などの多くの機能をもち、T細胞やマクロファージ、樹状細胞など他の免疫細胞を活性化するなど免疫系において重要な役割を担っています。このB細胞が必要以上に活発に働いてしまうことが強皮症の発症と進行に関与しています。
リツキシマブは、B細胞を除去する作用を持ち、従来の治療法であるエンドキサンパルス療法よりも、肺線維症と皮膚に生じた線維化病変である皮膚硬化を改善させる可能性が示されております。
強皮症患者さん達にとって大きな福音となることが期待されます。
全身性強皮症に対する「リツキサン®点滴静注」(一般名:リツキシマブ)承認取得に関する中外製薬・全薬工業のニュースリリース
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210927170000_1141.html
AMEDにおける全身性強皮症へのリツキシマブの有効性に関するプレスリリース
https://www.amed.go.jp/news/release_20210527.html
AMEDプレスリリース「世界初・医師主導治験によって、リツキシマブが全身性強皮症に対する薬事承認を取得」
https://www.amed.go.jp/news/release_20211007.html